- 玄関にスロープを設置したいけど勾配はどれくらいにすればいいんだろう?
- バリアフリーな家を作りたいけど玄関はどのようにすればいい?
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、
- 望ましいスロープの勾配について
- 玄関スロープを設置する際に勾配以外に気をつけたいポイント
- バリアフリーな玄関をつくるためのポイント
- 玄関スロープを設置する際の補助制度について
などを解説しています。
バリアフリーの玄関作りや玄関スロープを設置しようか迷っている人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
近年増えているバリアフリー設計の家
近年、バリアフリー設計の家を建てる人が増えてきています。
バリアフリー設計の家は、高齢の人だけが対象ではありません。
子どもから高齢者、障がいを持っている人まで、みんなが暮らしやすい家のことです。
玄関先に段差が少なければ、車椅子だけでなくベビーカーの移動が楽になります。
つまづきやすい子どもも、段差が少ないことで転倒するリスクを減らすことができます。
公共施設や大型ビル、商業施設などがバリアフリーになってきたことにより、暮らしやすい家づくりへの理解が進み、バリアフリー設計で家を建てる人も増えてきました。
家族に車椅子の人がいるなら玄関スロープの設置を検討しよう
家族に車椅子の人がいるのであれば、玄関スロープの設置をぜひ検討してみてください。
玄関スロープの設置は、何より介助者の負担を減らすことができます。
玄関に段差があるため、車椅子から人をおろして介助して家の中まで誘導したあとに、車椅子を片付けにいくのは重労働で大変ですよね。
段差を減らし、スロープを設置することで、車椅子での移動がスムーズに行えるようになります。
玄関の中まで車椅子で行くことができるので、今までよりも介助の負担を減らすことができ、介助者・要介護者お互いの足腰への負担や転倒のリスクも減らすことができます。
望ましいスロープ勾配について
望ましいスロープ勾配について解説します。
バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準では1/12以下の勾配を基準としている
バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準では、1/12以下の勾配を基準としています。しかし、1/12以下の勾配は、角度にすると約4.8度。高齢の車椅子の人が自力で昇り降りすることは困難です。
介助者が車椅子をおして、昇り降りができる勾配になります。
車椅子の人が自力で走行するなら1/15の勾配が理想
車椅子の人が自力で走行をするなら、1/15以下の勾配が理想です。
建築物移動等円滑化誘導基準の1/15以下の勾配であれば、角度にすると約3.8度と、緩やかな角度になります。
バリアフリー化がすすんでいる建物は、建築物移動等円滑化誘導基準を参考に建築しているため、1人で昇り降りができるよう1/15以下の勾配になっています。
車椅子利用者本人が1人で車椅子を動かすことが可能であれば、1/15以下の勾配スロープを設置することで1人で昇り降りをすることができ、外出をするのが楽しくなることでしょう。
介助者の負担を減らすためにも最大限緩やかな勾配を採用しよう
玄関スロープを設置するのであれば、介助者の負担を減らすためにも、最大限緩やかな勾配を採用するようにしましょう。
今は元気でも、いつも元気に介助できるわけではありません。風邪をひいたり、疲れがたまって力が出なかったりする日もあると思います。1人で抱え込まずに公共の制度を利用するのが大前提ですが、体調が悪いような日でも、車椅子の介助で昇り降りするのが苦痛にならない仕組みづくりをすることが大切です。
スロープ勾配基準をクリアするには長さが必要
しかし、スロープの勾配をゆるくするのにはそれなりに長さが必要です。
スロープの勾配基準をクリアするのには、長い敷地か広い敷地が必要になります。
敷地の長さが確保できない場合は折返しの踊り場を検討しよう
敷地の長さが確保できない場合は、折返しの踊り場を設けることで、1/15以下の勾配に近づけられる可能性があります。
玄関前の形状によっては、折返しの形状にすることで、玄関スロープを設置することができます。実際に設置が可能かどうかは、現地を確認しないと判断ができません。
玄関スロープの設置を検討しているのであれば、一度専門業者に見積もりと設計の依頼をすることをおすすめします。
スロープを設置する際に勾配以外に気をつけたいポイント
スロープを設置する際に気をつけるのは勾配だけではありません。
勾配以外に気をつけたいポイントを4つご紹介します。
スロープの幅
玄関スロープを設置する際に気をつけたいポイントは、スロープの幅です。勾配にばかり目が行きがちですが、幅も重要なポイントとなります。
最低90cmの幅を確保することが必要ですが、介助者がいる場合や折返しの踊り場がある場合は、120cm以上の幅があるとスムーズに昇り降りをすることができます。
なお、バリアフリー法の建築物移動等円滑化基準では120cm以上、建築物移動等円滑化誘導基準では150cm以上と記載されています。
手すりの設置
玄関スロープを設置する際に気をつけたいポイントは、手すりの設置です。
玄関スロープを設置するのであれば、手すりの設置は行っておくことをおすすめします。
手すりを設置することで、車椅子の人だけではなく、転倒しやすい小さい子どもも歩きやすいスロープになります。スロープの形状によって違いはありますが、手すりは両側に設置することをおすすめします。
床の素材
玄関スロープを設置する際に気をつけたいポイントは、床の素材です。
滑りやすい素材にしてしまうと、雨の日などの転倒リスクが高まります。
車椅子利用者本人も、介助者も双方にとって危険なため、床の素材は必ず滑りにくいものを採用するようにしましょう。
もしくは、滑りやすい素材でも、少しでも滑りにくいように加工をしてもらうようにしましょう。
フットライトの設置
玄関スロープを設置する際に気をつけたいポイントは、フットライトの設置です。
「夜は出かけないから」と見落としがちなポイントですが、冬は日が落ちるのが早く、少し帰りが遅れただけでも暗くなってしまいます。
暗い中で、懐中電灯などのライトで足元を照らしながら介助をするのは大変な作業です。
人感センサー付きのフットライトを設置することで、足元を照らしてくれるため、転倒のリスクを低減させることができます。
バリアフリーな玄関をつくるために考えたいポイント
バリアフリーな玄関をつくるために考えたいポイントを2つご紹介します。
外構に溝や段差がないかを確認する
バリアフリーな玄関をつくるために、各部に溝や段差がないかを確認しましょう。
せっかく玄関スロープを設置しても、玄関アプローチや門付近が段差や溝だらけだと、車椅子での移動が困難になってしまいます。段差は超えるのが難しく、溝にはタイヤがはまってしまいます。
少しの段差や小さい溝でも、車椅子で走行する人にとっては困難な道になってしまうのです。
玄関のスロープだけではなく、全体的に段差や溝がないかを確認するようにしましょう。
門扉や玄関など扉は引き戸が理想
バリアフリーな玄関をつくるために、扉は基本引き戸にするようにしましょう。
門扉や玄関など、開くところは引き戸が理想です。開き戸は、扉の開閉に身体の前後移動が必要になります。
車椅子利用者が開けようとすると、腕に力を入れながら車椅子を動かす必要があるためとても開けにくいのです。
さらに、開けにくいからといって開きっぱなしにしておくと、ドアにつまづいてしまう恐れがあり大変危険です。
そのため、扉関係は、引き戸に出来るようであれば引き戸にするのが理想です。
家族に要介護認定の人がいて玄関スロープを設置する場合は補助制度が使える可能性がある
家族に要介護認定の人がいる場合は、補助制度が使える可能性があります。
バリアフリーリフォームをすると介護保険の補助金を受けることができる
バリアフリーのリフォームには、介護保険の補助金を受けることができます。
介護保険の補助金は、改修費用20万円を上限として7〜9割。(支給上限18万円)
自己負担は所得によって1〜3割です。
改修費が20万円だった場合、1割負担の場合は18万円、3割負担の場合は14万円を支給してもらうことができます。
ただし、介護保険によるリフォームの補助金を受けるには対象者の条件があります。
- 40歳以上で、要介護認定または要支援認定のいずれかに認定されていること
- 利用者が居住していること
- 対象麹場所が被保険者の居住する住所と同じであること
上記の条件を満たしていれば、介護保険の補助金を受け取れる可能性が高いので、リフォーム工事前に一度ケアマネジャーなどに相談することをおすすめします。
補助金の対象となる住宅改修は下記の6種類です。
- 段差の解消(玄関スロープの取り付け)
- 手すりの取り付け
- 床または通路面の材料の変更(滑り防止の為)
- 引き戸への扉の取替
- 洋式便器への取替
- その他上記5つの住宅改修に付帯して必要な住宅改修
自治体によっては住宅改修補助制度がある
自治体によっては住宅改修補助制度があります。補助金だったり、融資制度だったり、形式は各自治体にってさまざまです。
各自治体によって、補助制度の形式が違うため、一度自分の居住する地域の補助制度を調べてみることをおすすめします。
バリアフリーリフォームの依頼をする前に補助制度について調べておこう
バリアフリーリフォームの工事を依頼するまえに、補助制度について調べておきましょう。自治体のホームページを見て調べて、さらに担当のケアマネジャーさんに相談することをおすすめします。基本的に、補助制度は施工前の申請が必要です。
リフォーム後に、「今回のリフォーム工事には補助制度が使えたのか…」と後悔することがないように、調べて相談してから、施工会社に依頼をするようにしましょう。
まとめ:バリアフリーにして車椅子の家族が快適に過ごせる家にしよう
バリアフリーにもいろいろな方法があることがわかりました。
スロープだけではなく、扉、段差や溝の改修など、気をつけたい場所はたくさんあります。
バリアフリーな家にして、車椅子の家族もみんなが快適に過ごせる家にしましょう。
玄関スロープの設置や、外構のことでお悩みの方は是非一度「ステージ」にご相談ください!