延段の種類や施工方法について解説します

日本庭園でよく見かける石の歩道。

石の歩道には、延段、飛石、敷石などいろいろなものがあります。

なかでも延段は、歩きやすさと趣を兼ね揃えていて、人気のあるデザインのひとつです。

  • 日本庭園や神社などでしか見たことがないけれど、そもそも延段って何?
  • 庭に延段を採用しようか迷っている

このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では

  • 延段とは
  • 延段のメリットとデメリット
  • 延段の種類
  • 延段の施工費用目安
  • 延段の施工方法
  • 延段の禁じ手について
  • 延段の施工は専門業者に依頼をするのがおすすめな理由

などについて解説をしています。

家のエクステリアに延段を採用しようか迷っている人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。

目次

延段とは

延段(のべだん)とは、短冊状に石を敷き詰めて作った通路のことです。

飛び石は、石と石の間が空いているのに比べ、延段は敷き詰められているので歩きやすいのが特徴です。

延段には「真」「行」「草」の3種類の敷き方があります。

これは書道の「真書」「行書」「草書」の考えからきており、表現の違いを表す言い方として用いられるようになりました。

敷き方の種類によって、使用する石の種類も変わります。

昔は、目地には土が使われることが一般的でしたが、最近ではモルタルや漆喰、苔などが使われるケースもあり、デザインも多様化してきました。

美しい延段で有名な場所として、京都の桂離宮があります。

桂離宮は、3種類の延段のデザインをすべて使用していることで有名な場所です。

中門から古書院御輿寄前に「真の延段」、外腰掛の前に「行の延段」、笑意軒前や書院の前に「草の延段」を採用しており、桂離宮に行けば、一度で3種類すべての延段を見ることができます。

「真」「行」「草」の延段の違いを体感してみたいのであれば、桂離宮に一度足を運んでみるのもいいかもしれません。

延段のメリットとデメリット

延段のメリットとデメリットをご紹介します。

メリット: ・歩きやすくなる
      ・美しさ

デメリット:・選ぶ石によっては施工費用が予想よりも高くなる可能性がある

延段のメリットは、歩きやすくなることと、見た目が美しくなることです。

石が敷き詰められているため、砂利敷きや飛び石と比べて歩きやすくなります。

そして、延段の最大のメリットはその美しさです。趣のある雰囲気を演出することができます。また、経年による変化を楽しめるのも一つのポイントです。

延段のデメリットは、使用する石によっては施工費用が予想よりも高額になる可能性があることです。

石の種類はたくさんあり、手が届きやすいものから高価な石までいろいろな価格帯のものがあります。

安価な砕石に比べ、国産の自然石は形状や大きさによって費用が異なります。

国産の石で延段によく使用されるのは花崗岩(かこうがん)です。

なかでも香川県の庵治石や、山梨県の甲州鞍馬石は和風庭園の高級石材として人気があります。

国産だけでなく、外国産の石なども販売されています。

石は国内外問わずいろいろなところで採掘されており、採掘される場所によって、色や形などの特徴も異なります。

特に石の産地にこだわりはないという人は、出来上がりのイメージと予算を専門業者に伝えて石を探してもらうのがよいでしょう。予想を大幅に超えるような金額になることを防ぐことができます。

また、産地や石の種類にこだわりがある人も、大幅に予算を超えることを防ぐことはできます。

予め見積もりをとったり、事前の下調べをしておくことで、予算を組みやすくなり、大幅にオーバーして希望の石が使えなかった…ということを防ぐことができます。

価格に関しては、デメリットとも言えますが、相場や石の種類を勉強するいい機会にもなるでしょう。

延段の種類

延段には3種類の敷き方があります。

  • 真の延段
  • 行の延段
  • 草の延段

真の延段

真の延段とは、角状の切石を使用し、直線を基調として敷く延段です。

3種類のなかでは一番格式が高く、硬い印象の敷き方となります。

切石敷とも呼ばれることがあります。

長方形の切石を敷き詰めた煉瓦敷、正方形の切石を敷き詰めた市松敷、細長い切石を敷き詰めた短冊敷などがあります。

玄関前や、書院、社寺仏閣など形式を重んじる箇所に使われることの多い敷き方です。

行の延段

行の延段とは、角状の石と自然石を使用して敷く延段です。

真の延段よりも少しくだけた雰囲気になります。

庭や、茶室への通路に使われることが多く、飛石と組み合わせて採用されることも多い敷き方です。

草の延段

草の延段とは、自然石を使用して敷く延段です。

3種類のなかでは、一番柔らかい印象になります。

真の延段や行の延段と違い、角状の石を使用していないため、庭に曲線の延段を設置したいときなどに採用されます。

3種類のなかでも一番自由度が高く、独自性を出せるのも特徴です。

大きめの石でつくる「あられくずし」や、小さめの石で構成される「あられこぼし」などがあります。

延段の施工費用目安

延段の一般的な施工費用相場は、1平米6〜8万円です。

施工費用は敷き方や石の種類、延段を採用する範囲の大きさによって変動します。

範囲が広ければもちろん費用も比例して高額になっていきます。

また、選ぶ石によっても金額は大きく変わります。

一般的に使われる庭石を使用するのか、国産のブランド石を使用するのかによっても金額が変わります。俗に言う高級石と言われるものを使用したいのであれば、費用は高めに見積もっておく必要があるでしょう。

延段の施工方法

行の延段(目地:土)の一般的な施工方法をご紹介します。

①石材を選ぶ

まずは石材選びです。設計図を見ながら、必要な形、大きさの石を選びます。

角材を使用する敷き方であれば、先に角材を用意するようにしましょう。

その後、自然石を多めに選びます。

自然石の並べ方には禁じ手も多くあるため、余裕を持った数を選んでおくと、実際に並べるときに臨機応変に対応でき、スムーズに作業をすることができます。

②遣方をつくる

つぎは、遣方(やりかた)づくりです。

設計図を見ながら、施工する範囲を決めて大雑把な縄張りを行い、石の高さに合わせて水糸を水平に貼り遣方をつくります。

③施工範囲の床掘りと下地づくり

つぎは、床掘りと下地づくりです。

敷く石の高さによって、掘る深さは変わります。

掘り終わったら、底の土をならして突き固め、下地をつくります。

④石の仮置きをする

つぎは、石の仮置きです。

角材と自然石を使用する敷き方の場合は、角材から仮置きをして、その次に自然石の置き場を決めます。

禁じ手にならないかを考えながら置き場所を決める必要があるため、重要で繊細な工程のひとつです。

⑤目地のとり方を決める

つぎは、目地のとり方を決めます。

目地のとり方にも禁じ手があるため、忌み目地にならないように気をつけ、内側の石の並びを再調整していきます。

目地の幅は1〜1.5cmを目安にしましょう。

⑥石を据えつける

最後に、石の据えつけです。

1つ1つの石を据えつけていき、石の周囲から目地になる土を入れていきます。

最後に余分な土を掃除して、完成です。

延段の禁じ手について

延段の施工には、禁じ手と呼ばれるものがあります。

こちらでは、主な禁じ手を5つご紹介します。

  • 四つ目地
  • 通し目地
  • 八つ巻き
  • 同大、同形の石が並ぶ並び方
  • 同じ模様の繰り返しになる並び方

避けるべきとされる忌み目地

四つ目地

四つ目地とは向かいあう角が4つにならないようにすることです。

角がある石同士を配置する場合は、向かい合う角は3つまでにしなければなりません。

通し目地

通し目地とは、目地が線状に通ってしまうことです。

線状に通らないように気をつける必要があります。

八つ巻き

八つ巻きとは、大きな石の周りを小さな押しが取り囲むことです。

八つ巻きの取り囲みにならないよう、気をつける必要があります。

避けるべきとされる石の並び

こちらでは、避けるべきとされる石の並びをご紹介します。

同大、同形の石が並ぶこと

同大、同形の石が並ぶ並び方は、よくない並びとされ、避けるべきといわれています。

同じ模様の繰り返しになること

同じ模様の繰り返しになる並び方も、よくない並びとされ、避けるべきといわれています。

延段の施工は職人の技術が必要なため専門業者に依頼をしよう

延段の施工は、職人による高度な技術と専門的な知識が必要な作業です。

DIYでの施工をすると、知らないうちに禁じ手を行ってしまうおそれがあります。

そのため、あまりDIYでの施工はおすすめできません。

せっかく趣のある延段を施工するのであれば、長く使えるよう、しっかりと良い並びで施工したいですよね。

延段を施工したい人は、造園業者か経験が豊富なエクステアリアプランナーに相談をすることをおすすめします。

費用面やデザインのことを相談できるうえに、完成度の高い延段を設置することができます。

まとめ:延段を採用して趣のあるエクステリアにしよう

延段はとても魅力的なものだとわかりました。

敷き方にも種類があり、敷き方によってデザインと印象も大きくかわります。

施工する場所や、表現したい雰囲気によって敷き方を選ぶのも庭造りの醍醐味の一つです。また、施工する職人さんの知識量や技が光る手法でもあります。

和風庭園に強いのは造園専門業者ですが、エクステリア全体の構造物などの相談もしたいのであれば、経験が豊富なエクステリアプランナーに相談することも手段のひとつです。

全体的なバランスを考えつつ、プランを考えてもらうことができます。

作業はプランナーが信頼できる職人に依頼をするので、依頼者がじぶんで職人を探してくる必要もありません。

1年の間に何回もデザインを変えたい、というような人は自分で施工するのもいいかもしれませんが、ほとんどの人はそのデザインを長く使う場合が多いでしょう。

長く使用するのであれば、プロに依頼をして、しっかりとしたものを施工してもらうことをおすすめします。

庭に延段を採用して趣のあるエクステリアをつくりましょう。

延段の採用を迷っていたり、庭造りにお悩みの方は、ぜひ一度「ステージ」にご相談ください!

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