- つくばいって何?
- つくばいについて知りたい
このようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
- この記事では
- つくばいと筧とは?
- つくばい石の構成・役石
- つくばいの施工費用目安
- つくばいの施工は専門業者に依頼をするのがおすすめな理由
などについて解説しています。
庭につくばいを採用しようか迷っている人は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
蹲(つくばい)と筧(かけひ)とは?
蹲(つくばい)とは、茶室前の露地に設置された手水鉢(ちょうずばち)のことです。
水で手を清めるときに、かがんで洗う姿勢から、蹲る(うずくまる)という意味を持つ「つくばい」と呼ばれるようになりました。
「蹲踞(つくばい)」と表記されることもあります。
もともと手水鉢は、水浴みによって身体の汚れを洗い清め、心の罪やけがれを祓うことができるとするミソギを簡略化させたもので、寺社によく備えられている造形物です。
この手水鉢の形式を採用し、手を清めてから茶室に入るために茶室前の露地に備えられたのが「つくばい」です。
現在では茶室を持つ家が少なくなったため、庭園に施す装飾の一つとしてつくばいを設置するケースが多い傾向にあります。
筧(かけひ)とは、手水鉢に水を導く装置のことです。
主に、竹で作られます。
筧はししおどしと混同されがちですが、ししおどしは竹の筒に水を受けて、その重みで竹が石にあたり「カコーン」と音がする装置です。
筧は、水を導く装置なので、ししおどしのようには動きません。
同じ竹の筒でできていることから混同されることが多い装置ではありますが、全くの別物です。
つくばいと筧は合わせて設置される造形物です。
筧からつくばいへ水が流れるさまは、風情を感じることができ、心地よい気持ちになることができます。
昔はつくばいが設置されていることは茶室があることを意味していた
昔は、つくばいが設置されていることは、茶室があるということを意味していました。
なぜなら、つくばいはもともと茶室前の露地に設置されていたからです。
茶道では、茶室に入る前に身を清めることが作法となっています。
そのため、客人が茶室に入る前に手を清めるために、茶室前の露地にはつくばいがありました。
茶室前の露地に設置されているつくばいは、結界としての意味もあります。
茶道での結界とは、もてなす亭主と、客人との線引のようなもので、程よい緊張感を出すためにも、茶室前の露地にはつくばいが必要とされていました。
つくばいは、茶室が特別な場所だというのを示すためにも、重要な役割を担っていた造形物です。
つくばい石の構成・役石
つくばいの構成・役石を解説します。
つくばいは、水鉢と、3つの役石【前石、手燭石(てしょくいし)、湯桶石】と水門から構成されています。
時計回りに水鉢、湯桶石、前石、手酌石の順番に並べるのが一般的ですが、宗派によって左右の置き場所が異なります。
これらの役石に囲まれた部分は海と呼ばれています。
海は水鉢からこぼれる水を受け止めるために低く設計され、砂利やゴロタ石などを敷き詰めて作られます。
排水口を隠したり、柄杓でかけた水がはねにくくするために設置する石は水門と呼ばれ、別名、泡消し、水掛け石とも呼ばれます。
3つの役石の役割は下記の通りです。
前石:手を水で洗うために乗る場所です。「踏み石」や「袴すり石」とも呼ばれます。飛び石よりも若干高く据え付けると良いとされています。
手燭石:夜間の茶会の際に、手燭(明かり)を置くための場所です。湯桶石よりも高く据え付けると良いとされています。
湯桶石:冬季の茶会の際に、水だけでは手を洗い清めるのに寒いため、湯を桶に入れて客人に使用してもらうことがあります。湯桶石はその温かい湯の入った桶を置く場所です。
前石よりも高く、地面より10〜15cm高い場所に据え付けると良いとされています。
水鉢が海の向こう側に設置されている形式を「向う鉢」と呼び、海の中に設置する形式は「中鉢」と呼ばれます。
金閣寺鹿苑寺夕佳亭のつくばいは「向う鉢」、金閣寺鹿苑寺庭園のつくばいは「中鉢」が設置されているので、金閣寺へ行けば両方の形式を見ることができます。
和風庭園には欠かせないつくばいの魅力
和風庭園に欠かせないつくばいの魅力は、他には表せない趣があることです。
和風庭園に使用する造形物には、延段や飛び石、つくばいや筧など、石を使用したいろいろなものがあります。
それぞれに役割があり、意味をもっています。
その意味は、昔の人が使用する相手を想って考えられた仕組みや作法が多く、日本人のおもてなしの心を象徴している庭のスタイルだといえるでしょう。
また、日本では、石には八百万の神様がいると昔から信じられているため、日本庭園には石の造形物が多く使われているともいわれています。
神様がいる石を使用し、身も心も清めるための造形物を作った、昔の人たちのわびさびの精神を感じます。
見た人にしか感じることのできない、美しく独特な趣が和風庭園の魅力です。
洋風の家でも、つくばいのある庭にすることで和モダンな印象になる
洋風の家には、つくばいを設置することは難しいのでしょうか。
いいえ、そんなことはありません。
和風の家でなくても、つくばいを設置することができます。
洋風の家でも、つくばいのある庭にすることで、和モダンな印象を与えることができます。
庭の一角につくばいがあることで、趣のある庭にすることができるでしょう。
つくばいの水鉢には、さまざまな種類があります。
自然石の形を生かした水鉢だけではなく、石を加工した造作水鉢もあります。
和風庭園だけではなく、和モダンな雰囲気にも合わせやすいデザインも多いので、一度石材屋さんに足を運んでみるのも良いでしょう。
唯一無二の、独特な水鉢に出会えるかもしれません。
つくばいに使用される国産石の種類5選
つくばいに使用される国産石の種類を5つご紹介します。
- 筑波石(つくばいし)
- 甲州鞍馬(こうしゅうくらま)
- 阿波青石(あわあおいし)
- 三州御影石(さんしゅうみかげいし)
- 伊勢御影石(いせみかげいし)
筑波石(つくばいし)
筑波石は、茨城県つくば市で採掘される黒褐色の閃緑岩(せんりょくがん)です。
和風庭園では、景石や飛び石、水鉢に使用されます。
酸化による経年変化で黒味を増すため、使用すればするほど味が出てくる石の一つです。
甲州鞍馬(こうしゅうくらま)
甲州鞍馬は、山梨県大和市で採掘される鉄錆色の閃緑岩(せんりょくがん)です。
和風庭園では、景石や飛び石、水鉢に使用されます。
錆が表面を覆って、経年により淡く変化していくのが特徴です。
阿波青石(あわあおいし)
阿波青石は、徳島県吉野川で採掘される青緑色の緑泥片岩(りょくでいへんがん)です。
和風庭園では、景石や灯籠、水鉢に使用されます。
クールな青さが特徴です。
三州御影石(さんしゅうみかげいし)
三州御影石は、愛知県岡崎市で採掘される青白色の花崗岩(かこうがん)です。
和風庭園では、景石や水鉢、灯籠に使用されます。
青みがかったグレーの色が特徴です。
伊勢御影石(いせみかげいし)
伊勢御影石は、三重県菰野町で採掘される白色の花崗岩(かこうがん)です。
和風庭園では、景石、水鉢、山灯籠、飛び石などに使用されます。
採掘されるのは丸みを帯びた形状の石が多いのが特徴です。
別名、菰野石(こものいし)とも呼ばれています。
つくばいの施工費用目安
つくばいの施工費用目安をお伝えします。
施工費用は20万円前後〜で、選ぶ石によって価格は変動します。
既製品で素材を選ばなければ、小さいサイズで1万円前後から購入することも可能です。
産地が限定されている国産石や、自然石は、価格が高く、費用目安の20万円をゆうにこえるものも多くあります。
石の形を生かしたつくばいや、石を切り出してデザインした造作つくばいなど、つくばいの種類は豊富です。
サイズが大きくなるほど価格も高くなっていきます。
設置する場所や、雰囲気に合わせて、どのようなつくばいを購入して設置するかを考えるようにしましょう。
つくばいの設置は専門業者に依頼をするのがおすすめ
つくばいの設置は専門業者に依頼をするのがおすすめです。
小さいサイズのつくばいであれば、DIYで設置をすることも可能です。
しかし、役石の置き方など、専門的な知識が必要な場面も多々あります。
一般的な住宅に設置する場合、そこまで作法を気にせずにDIYで設置する人もいますが、やはり作法は守って備え付けるのがベストです。
どの位置に置くか、どの宗派の置き方をするのかなど、考えなければいけないことがたくさんあります。
和風庭園作りは、昔から伝承されてきた作法や禁じ手などが多くあるため、専門的な知識を持った業者に依頼をするのがベストでしょう。
また、大きい石の設置をするとなると、重量があるため、一人の力では設置が難しい場合もあります。
和風庭園の施工は、造園業者が専門業者ではありますが、専門的な知識を持ったエクステリアプランナーであれば、いろいろな選択肢を考えてくれます。
依頼主、専門業者と相談をしながら、さまざまなデザインや商品を提案してもらうことができるため、専門的な知識を持った経験豊富なエクステリアプランナーに一度相談をすることをおすすめします。
和風庭園つくりは、つくばいだけでなく、まわりのエクステリアとのバランスも重要なため、全体的なバランスを見ながら設置できるよう専門業者に依頼をすることをおすすめします。
まとめ:つくばいを採用して趣のある庭にしよう
つくばいは、日本古来の趣を表現できる素敵な庭の造形物です。
筧と合わせて設置すれば、見るだけで日々の疲れを癒してくれる素敵な庭になることでしょう。
庭につくばいを採用して、趣のある庭にしましょう。
庭づくりにお悩みの方は、ぜひ一度「ステージ」にご相談ください!