「うるさい!」をフェンスで減らす!防音対策となるフェンスを解説

快適な生活を送る上での条件はいくつもありますが、「静かさ」を挙げる人は非常に多いのではないでしょうか。例えば、線路の近くの家の場合は列車が通るたびに「うるさい」と感じることでしょう。しかも、列車は早朝から通ります。休日の朝などはウンザリするのではないでしょうか。

さて、そのような住宅には防音のためのアイテムが求められます。窓であれば二重窓にするなどの工夫です。

しかし、エクステリアでも防音対策は可能。それがこの記事で紹介する防音フェンスです。

この記事では

  • 防音対策の必要性
  • 防音フェンスとは
  • 音の伝わりを軽減させるメカニズム
  • 防音フェンスの他のメリット
  • フェンスを設置する上での注意点

について解説しています。

騒音に困っている人、防音対策に興味のある人はぜひ読んでくださいね。

目次

防音対策の必要性

冒頭でも挙げたように、快適な生活のためには静かさが必要です。防音はそのために求められます。

では、仮に防音性が無かった場合には、生活環境はどのようになるでしょう。

まず挙げられるのが劣悪な環境です。住宅がどこにあるかにもよりますが、線路の側にある場合には騒音が居室まで飛び込んで来ます。しかも、早朝から深夜までです。今では日付が変わっても列車は走るので、相当にうるさく感じることでしょう。

当然ながら、その状態は安眠を妨害されます。安眠が妨害されるということは身体によくありません。また、メンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。

このように考えると、静かさの重要性が更に浮き彫りになるのではないでしょうか。防音は非常に重要なのです。

防音フェンスとは

前にも述べたように、防音はフェンスでも実現できます。

しかし、防音フェンスを設置するにあたっては、防音フェンスがどのような物かを知る必要があります。

そこで、ここでは防音フェンスについて改めて確認して行きましょう。

音の伝わりを軽減させる

防音フェンスの効果はその名の通り、防音です。

防音とは音の伝わりを軽減させること。音の伝わりを軽減させて騒音の被害を抑え、住宅の環境をより良くすることとも言ええます。

さて、音は音源となるものから空気を伝わって届く振動とも言え、その振動の伝わりを阻害すれば、必然的に騒音も抑えることが可能です。

例えば、列車の通る線路の場合は、列車が通った場所が音源です。そこから空気を伝わって音は家に届きます。その空気の伝搬を抑えることが出来れば、騒音も抑えられるのです。

防音フェンスには2つのタイプがある

エクステリアメーカーのカタログを見ると、防音フェンスにも2つの種類があることが分かります。

それが「遮音タイプ」と「吸音タイプ」です。

これらのフェンスとしての構造はどのようなものなのでしょうか。

それぞれについて解説しましょう。

遮音タイプ

防音フェンスの遮音タイプをエクステリアのカタログで見ると、アルミのフェンスに板材が入っていて、その内部に樹脂が入っていることが分かります。

後述しますが、遮音とは「音を跳ね返して防音とするもの」です。

ですから、遮音タイプのフェンスは、アルミの板材で音を跳ね返し、残った振動を樹脂で弱めるイメージと言えるでしょう。

吸音タイプ

吸音タイプはスチールの板とパンチングアルミで多孔質の樹脂をサンドイッチした構造です。ですから、遮音タイプとは構造そのものが完全に異なります。

これは音を小さくするメカニズムが遮音タイプとは完全に異なるため。音はパンチングアルミの穴に入り込み、熱に変換されて小さくなります。

ちなみに、音のエネルギーが熱に変えられると聞くと「熱くなるのかな?」という印象を受けるかも知れませんが、実際はそのようにはなりません。というのも、音のエネルギーを熱に変えたとしても、熱に変換されるのはほんの少し。熱くなるレベルではありません。

フェンスにはある程度の高さが必要

ところで、一般の住宅用のフェンスはブロック塀に設置されることもあり、それほどの高さはありません。フェンスの高さをカタログで見ても、600~800ミリのものが多いです。実際、ブロック塀の高さを加えても1.2m程度の現場が多く、それほど高いものは少数派です。

では、防音フェンスはどれくらいの高さのものがあるのでしょうか。

これもエクステリアのカタログを見ると分かります。高さは1500~3000mmとなっています。一般のフェンスの高さよりも高いです。

ちなみに、カタログを見るならば、フェンスの基礎も大きくなっていることも分かります。これは転倒防止のための構造。フェンスに力が加わった場合には倒れる方向に作用しますが、このときに基礎に十分な強度がないとフェンスが倒壊するのです。

音の伝わりを軽減させるメカニズム

ここで、少々専門的になりますが、音の伝わり方について触れたいと思います。「なぜフェンスが防音に役立つのか」「遮音と吸音とはどう違うのか」といったことがイメージできるようになるでしょう。

音の伝わり方について  

まずは音の伝わり方について取り上げましょう。

音は音源から振動として伝わります。人間が伝わって来たその振動を感じるイメージです。

ところで、音の伝わり方には2種類あることをご存じでしょうか。これは「空気音」と「固体音」と呼ばれるもの。伝わるものが異なります。

まず、空気音ですが、これは音源で発生した振動が空気を伝わって届く音。ちょうどスピーカーから流れる音楽が耳に届くようなイメージです。スピーカーが振動して、その振動を空気が震えながら耳にまで届くイメージです。

それに対して固体音は固体を振動させて伝わる音。音楽の重低音が床を伝わって身体で感じることがありますが、これは固体音が伝わって来る現象と言えます。スピーカーで発生した音が床を伝わって来る現象で、低い音が感じやすいです。重低音が伝わって来て、身体で感じることがありますが、これなどは固体音の良い例です。

さて、防音フェンスで抑えるのは空気音です。ですから、車や列車の騒音、つまり空気を伝わって来る音を抑えることが可能となります。

しかし、車や列車は走行によって振動を発生させます。これは固体音に近いのですが、防音フェンスはこのような音までの抑制はできません。

遮音とは

では、遮音とはどのような現象なのでしょうか。

これは「空気中の振動の伝わりを跳ね返すイメージ」と言えます。音源の前に遮蔽するものを置くと、その遮蔽物がその音の伝わりを跳ね返し、耳に届きにくくなるのです。

例えば、誰かと話をしている時にドアを閉めたならば、その話し声が聞こえにくくなってしまいます。これはドアが音の伝わりを跳ね返してしまうため。遮音の現象なのです。

吸音とは

それに対して吸音はメカニズムが全く違います。

と言うのも、吸音は空気の振動をパネルそのもので減少させてしまうからです。

防音フェンスをカタログで見ると穴が多く開いていますが、吸音のメカニズムはその穴にあります。空気を伝わって来た音がその穴の中に入ると、穴の中で振動が乱反射を起こして減衰してしまうのです。その結果、裏側には音が届かなくなってしまいます。

ちなみに、音はその乱反射の途上でエネルギーが熱に変換されます。このエネルギーは音によって伝わった分と同じだけのエネルギーが熱などに変化するのですが、実際の音のエネルギーは「物を震わす程度」とも言え、決して大きなものとは言えません。そのため、熱くなるレベルには至らないのです。

防音フェンスの他のメリット

防音フェンスの機能は防音なのですが、単に防音としての役割だけではありません。当然ながら、フェンスとしての機能もありますので、ここではフェンスとしての機能についても再確認をしてみましょう。

目隠しフェンスとしても活用が可能

防音フェンスはパネル材を使ったフェンスです。そのため、目隠しフェンスとしての活用も可能です。

目隠しフェンスはプライバシー保護のために非常に有効。そのため、設置すれば防音とプライバシー保護の一挙両得となります。

例えば、楽器の演奏が趣味で隣の家に音で迷惑をかけたくない場合などがあるでしょう。防音フェンスを張れば騒音で迷惑をかける確率が低くなるだけでなく、こちらを見られることもなくなります。

また、こちらの話し声が隣の家まで聞こえなくなります。この点でもプライバシー保護に有効です。

防犯にも役立つ

フェンスは防犯にも役立ちます。特に、背の高いタイプは有効と言えるでしょう。

これは、フェンスを越えようとする動作が目立つから。侵入者は通行人に発見されることを恐れるため、可能な限り目立たない行動を取ろうとします。ちなみに、今ではスマートフォンで動画を撮ることも可能。犯行現場を撮影されたら侵入者にとっては非常に不利です。

しかし、背の高いフェンスを越えるためには、フェンスをよじ登らなければいけません。この行動が目立ち、通行人に見つかって通報される可能性があるため、侵入者を寄せ付けないのです。

フェンスを設置する上での注意点

ところで、フェンス全般にも言えるのですが、設置にあたっては注意点がいくつかあります。

状況にもよりますが、基礎的な部分は守らなければいけません。

これは防音フェンスも例外ではなく、順守の必要があります。

そこで、ここではフェンスを設置する上での注意点を挙げてみます。

基礎の大きさは十分に

フェンスは基礎の部分が非常に重要です。基礎が十分な強度と大きさが無いと、フェンスが倒壊する可能性が出て来ます。

防音フェンスは基本的には独立基礎なのですが、基礎が不適切だと基礎ごと倒れてしまうケースがあるからです。

なお、フェンスが倒れた場合には、その下敷きになったものを壊してしまいます。隣の家のものを壊したならば、トラブルに発展し得ます。基礎には注意をすべきです。

隣家への影響を考える  

フェンスを設置する際には隣家への影響も考えるべきです。

特に防音フェンスは目隠しのタイプになるので、日照と通風で迷惑を掛けることにもなり得ます。2メートルを超えるような大型のフェンスは注意が必要となるでしょう。

なお、トラブルになった場合には、最悪はフェンスの撤去まで考えなければいけません。そのようにならないためには、フェンス設置の前の説明と協議が必要です。

防犯に悪影響を及ぼすことも…

前にも述べたように、フェンスは防犯に効果的です。

しかし、状況によっては逆効果になる場合があります。

これは、フェンスが「隠れる場所」を作ることにもなり得るため。侵入に成功した不審者にとっては、目隠しフェンスが隠れ場になってしまい、通行人の目に入ることなく仕事ができるようになるからです。

これは特に見通しの悪い場所でリスクが高まります。防犯カメラなどの設置が必要となるでしょう。

まとめ

フェンスによる防音対策について取り上げました。

防音フェンスの構造に併せて、音の伝わり方や遮音と吸音のイメージも掴めたことと思います。

静かな住環境は快適な生活に欠かせません。防音フェンスはそのような環境を改善する効果があります。近所から騒音が聞こえて来た時、その音にガマンができなくなった時などは、防音フェンスを検討してみてはいかがでしょうか。

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